うさぴんの郷

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村山槐多

昨年新たに発見された村山槐多作品として話題になった中の一枚、油彩による大島風景が毎日オークションの注目作品に出ていた。

ネット上の画像ではあるが額に入った状態で見るのと画集で見るのとでは大分違う印象になるから不思議だ。

額は決して豪奢なものではない。黒の中に赤の擦り出しを見せた所謂、高級額である。

画集で最初に見た時は、少し怪しく思えた。それは、週刊文春の記事を見ていたからだが、改めて見るといい絵だなと思えてくるから不思議だ。

筆致、色彩、明暗、そして画面から伝わる見る側の胸をたぎらせる様な緊張感。槐多の真作かどうかは私にはわからないが、この絵が良い作品という事だけは確かであるように思う。

キャンバス裏に共シールがあるということだが、なんとも興味深い。作品集では触れられていなかったが、村松和明氏の解説本に書いてあるのだろうか?


あと、今回の全作品集に載っていない作品があった。それは毎日オークションに出品されていたスケッチと物故堂というアカウントがヤフオクで出していた田端農耕風景という作品である。スケッチは粗っぽいが村山槐多らしい作品である。倶楽部の鑑定もあった。一方、田端農耕風景は初期の花の絵に通じるようなアカデミックな雰囲気の作品である。これには窪島氏の鑑定が付いていた。

私も物故堂からは昔、今西中通のサムホームの油彩と槐多のスケッチを購入している。今西中通は以前にも書いたが私の手を離れた後、鑑定が付いて毎日オークションに出品されていた。


ちなみに村山槐多の新発見作品の内、初期のパステル画には少しばかり疑問がある。

なぜなら、よく似た雰囲気の作品が物故堂ともう一つ、別の贋作を多数出していたアカウントが出していたからだ。

槐多と同じパステル画で龍安寺の石庭や山の風景を描いているのだが、作者は黒田清輝長谷川利行、李仁星という韓国の画家など様々である。中には村山槐多のサインがある作品もあったが、切り貼りした感じや全体の雰囲気が新発見作品とよく似ていた。

おそらく、クレパスで描かれた古い絵(同じ構図が何枚もある事から児童画と思われる。)を切り貼りして、サインを後付けしたと思われる。


それと画集を見ていて、ウッドワン美術館所蔵の村山槐多のガーベラの花という絵がなんとも異様に感じた。早熟だったというので、様々な作風を試みていてもおかしくはないのだが、同じくウッドワン所蔵の花やポーラ美術館の賀茂ノ里、新発見の花が比較的アカデミックな作風であるのに対し、前衛的というか、凝った作品という感じになんとなく違和感を感じた。

また、久万美術館所蔵の紙風船を被る自画像は初めて見るが、有名な方の紙風船を被る自画像を模写した様な感じがした。