うさぴんの郷

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長谷川利行のこと

長谷川利行の作品は筆致の激しさや作者の壮絶な生き様と比べると非常に静かで、主張せず、こちらにそっと寄り添うようにそこに存在しているような作品であると思う。もちろん、そうでない作品もあるけれど大半の作品はそんな感じだ。
数年前に長谷川利行作品を見るために訪れた画廊の人も似たようなことを言っていた。
以前展覧会で見た東山魁夷コレクションの長谷川利行の裸婦像もそうだった。確かに静かで空気のような作品なのだが、作品としては最低の出来で、何より、その絵からは何も感じなかった。
数年前にデパートで見た花が描かれた暗い色調の油彩もそんな感じだった。
私が今まで見てきた長谷川利行の作品はどれも感動が生まれて来なかった。
響くものがなかった。
悪い言い方をすれば、今まで見てきたのは中身、つまり魂のないスカスカの絵だったということだろう。

最近は長谷川利行の作品を画廊やオークションで見かけることが多くなったが、食指が動かない作品がほとんどで、その上贋作も多く、さらに値段も高い。
しかも、同じ作品をよく見かける。画廊を渡り歩いているのだ。
それだけ、長谷川利行作品は売れなくなってきているということだろう。
同じ画廊に数年置かれている作品もある。非売品とかではなくて単純に高すぎて売れなくなってしまった作品だ。
試しに値段を聞いたが簡単なデッサンで十数万と言われた。本来なら高くて数万円という作品なのだが…。
さらに、長谷川利行ではないが三岸好太郎の鑑定付きの贋作(札幌郊外となっているが、これはフランスの農村風景だと思う。家の形が違う気がする)がオークションで高値で落札されていたのを見ていつの間にか物故作家の作品を買う気すら起きなくなってしまった。

来月に長谷川利行の展覧会が開催されるそうだ。残念ながら静岡には来ないが愛知県の藤井達吉美術館には巡回するらしい。
代表作が揃う貴重な展覧会。時間があれば、見てこようと思っている。