うさぴんの郷

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電柱のある風景

 ある日、版画堂の目録に一枚の絵を見つけた。裏に広津和郎画とある作者不詳のなんの変哲もない小品だった。広津和郎といえば、小説家だが、本当に彼が描いたものなのかはわからない。絵も描いていたらしいが、画像が出てこないのでなんともいえない。

 私は、この絵を一目見て気に入った。理由などない。とにかく良いのだ。何が〜、どこが〜、という理屈など抜きにして、とにかく良い。多分、名画と呼ばれているものの半分くらいは、同じような理由なんじゃないかと思っている。


 私は、すぐさま問い合わせのメールを送った。だが、冬季休廊中で返事が返ってこなかった。
 そして、二日くらい経ってから絵の返信が来て、在庫があることがわかった。迷うことなく買った。

 案の定というべきか、額縁には広津和郎と記されたプレートが取り付けられていた。

 でも、サインはない。だが、良い絵であることだけは確かだ。白馬会系のような明るいタッチで戸外の風景を描いている。陽射しが強いように思えるから夏の風景かもしれない。

 左側にあるのは、住宅と板塀のように見える。大船にスケッチに行っていたらしいので、その辺りの風景なのだろう。 とにかく、良い。理由とか理屈とかは、ない。良い絵は理屈無しに良いのだ。