うさぴんの郷

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縁があるということ

 骨董や美術品には物縁というものがあり、縁がなければどんなに大金を積んでも買えないが、縁があると驚くべき安さで買うことが出来る。それは、ソシャゲのガチャも同じである。

 去年の暮れに五千円で落札した一原有徳の小品二点(しかも一点はモノタイプ!)や二〇二〇年に落札した森清次郎の絵(これも五千円ッ!)などがその典型で、これはすんなりと落札できた。

 今回の浦上玉堂もそういった縁があった作品で、すんなりと落札できた絹本に描かれた小幅である。木の下に高士が佇むという画題のようで、印章はよく見る玉堂所用のものである。全体の雰囲気やバランスもよく、軸装も丁寧で、箱も当方が所蔵する作品の箱とよく似た丁寧な作りのもので、張り札から何かの売立か入札会に出された作品と考えられる。

 しかし、何というか、近くでじっくりと見ると少し怪しくも思えてくるような作品である。

 こういう書体なのかわからないが、字は何処か辿々しく、近景と遠景の境目が不明瞭で、遠景に至っては一気呵成に勢いだけで描いている感がある。極め付けは人物で、高士というよりは、東屋の下で腹筋をしている人に見えなくもない。

 とにかく、色々と怪しくも思えてくるが、可愛らしく、それでいて全体的に纏っているように見えるから不思議で、それがこの絵の魅力でもある。