うさぴんの郷

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林武「ニース」

 最近、近代洋画作家、特に巨匠といわれる画家の作品に惹かれている。前々から好きだったのだが、自分でも買えるとわかって以降、より一層、惹かれるようになっていった。
 実際、一年間、飲まず食わずでお金を貯めれば、そういった画家のそこそこの絵は買える。買えるけれど、作品が大きいという欠点があるので、中々、買えない。広いリビングがあるならいざ知らず、狭い部屋の中だ、十号は飾れないし、置き場所にも困る。買うとしたら、小品。それも、サムホールぐらいの大きさ、そう決めている。 
 ある日、林武の風景画を見つけた。南仏ニースを描いたサムホールの小品で、戦後の絢爛豪華な厚塗りの作風が思い浮かぶのだが、この絵はそれとは真逆の大人しい独特の静けさが漂っている。
 一九三六年の作品に「ニース」という三十号の油彩があるので、おそらくそれの関連作ではないかと考えられる。
 ちょうど同じ頃、私は版画堂に作者不詳の絵の問い合わせをしていた。だが、冬季休廊中で返事が返ってこなかった。
 そのまま待てば良いのだが、生憎と短気であるので、居ても立ってもいられなくなり、気が付けば、この林武の絵を買っていた。 
 改めて見ると、爽やかな風景画である。でも、何故だろうか、見ていると心が騒つく……、そんな気がする。でも、良い絵だ。