うさぴんの郷

うさぴんの郷へようこそ。ここは自称アートコレクターのブログです。主な購入先はインターネットオークションです。

道端の石を拾うように…

 最近、美術品が高騰しているように感じる。

しかし、リアリズムやコンテンポラリーの有名作家や若手作家を中心に上がっていて、私が数万円、数千円で買った菅さんや磯辺さんの作品も価格がぐんと上がっている。(正直、菅さんは価格が下がりすぎていた感があるのだが)

 私も以前に梅原の素描と池田満寿夫の原画を泣く泣く手放してしまったが、その時は恐ろしいほど安かったので、今ならよかったと少し後悔している。

 その一方で見向きもされない作品もある。

これらの作品はオークションなどで数千円から数万円程度で買えたりする。(もちろん、売るとなったら安値で買い叩かれること必至なのだが)

今、私が主に買うのはこういった作品である。


 今の美術品市場は少々過熱気味の感があり、特に現代アートやリアリズム界隈は『投資』や『資産』として買われているように感じている。

 もちろん、それが美術品を買う際の醍醐味の一つではあるのだが…。


四方田草炎の素描

四方田草炎という画家の素描作品で、画題は熟前柿。

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名前と作品は洲之内徹の本で見たことはあったが、実物を見たのはこの作品が初めてである。

柿の表面の模様や葉の印影の丁寧な表現は、見応えは充分にあり、これで数千円は安い買い物だろうと思う。

マットのみだったので、シンプルな額に入れてみようと考えている。

アートの共同保有

アートの共同保有について少し気になったので、調べてみましたが、投機商品的な側面が強いように感じました。

扱っている作品は有名どころがほとんどですが、すでに天井圏に達している作家(よく言えば作品価格が安定している)の作品である為、驚異的な値上がりは期待出来ないと思います。

まあ、その作家の好きで買うなら問題はないと思いますが…。

村山槐多考

村山槐多の新発見作品、最初は非常に怪しく思えていた。贋作が多数紛れ込んでいると思ったからだ。

贋作と言っても無銘の古い絵に後からサインを後付けしたもので、それなら作風がバラバラというのも納得出来るのだが、村山槐多に似た無銘作品がそこら辺にある様には思えないのでやはり違うのだろう。

(余談だが、新発見作品のカンナよりもなんでも鑑定団で贋作とされたカンナの油彩画の方が槐多っぽい気がする。)

ただ、疑念作品が何点かあるように思えた。来歴の観点から言えば、「種まく人」という金地絹本に描かれた水彩画だが、これは、gentoushyaというアカウントが20102月に出品した作品と同一のもので府中美術館のバルビゾンのなんとかと言う展覧会にも出ていたような気がする。

サインの下に印章があり、金地絹本に描かれた作品を潰してその上に描いた作品か、誰かの作品にサインを加筆したものかはわからない。

ただ、お金のなかった村山槐多が別人の絵を潰して描いたという可能性も考えられるが

ほかに初期のパステル画群であるが、gentoushyaと物故堂というアカウントが出していた黒田清輝長谷川利行、李仁星、青木茂の素描作品とタッチや雰囲気、作品の保存状態などが非常によく似ていた。まるで、一枚の児童画を切り貼りした様な印象であった。

何点かは画集に掲載された作品と同じ場所を描いたのではと思われる作品もあった。

例えば、村山槐多の信州風景(全作品集No149)というコンテデッサンであるが、物故堂が出品した李仁星の素描作品と微妙な差異はあるが非常に良く似ていた。


ちなみに私は物故堂から村山槐多の素描作品を購入している。

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出どころは村山槐多の同級生の家で、画題は信州風景である。


村山槐多

昨年新たに発見された村山槐多作品として話題になった中の一枚、油彩による大島風景が毎日オークションの注目作品に出ていた。

ネット上の画像ではあるが額に入った状態で見るのと画集で見るのとでは大分違う印象になるから不思議だ。

額は決して豪奢なものではない。黒の中に赤の擦り出しを見せた所謂、高級額である。

画集で最初に見た時は、少し怪しく思えた。それは、週刊文春の記事を見ていたからだが、改めて見るといい絵だなと思えてくるから不思議だ。

筆致、色彩、明暗、そして画面から伝わる見る側の胸をたぎらせる様な緊張感。槐多の真作かどうかは私にはわからないが、この絵が良い作品という事だけは確かであるように思う。

キャンバス裏に共シールがあるということだが、なんとも興味深い。作品集では触れられていなかったが、村松和明氏の解説本に書いてあるのだろうか?


あと、今回の全作品集に載っていない作品があった。それは毎日オークションに出品されていたスケッチと物故堂というアカウントがヤフオクで出していた田端農耕風景という作品である。スケッチは粗っぽいが村山槐多らしい作品である。倶楽部の鑑定もあった。一方、田端農耕風景は初期の花の絵に通じるようなアカデミックな雰囲気の作品である。これには窪島氏の鑑定が付いていた。

私も物故堂からは昔、今西中通のサムホームの油彩と槐多のスケッチを購入している。今西中通は以前にも書いたが私の手を離れた後、鑑定が付いて毎日オークションに出品されていた。


ちなみに村山槐多の新発見作品の内、初期のパステル画には少しばかり疑問がある。

なぜなら、よく似た雰囲気の作品が物故堂ともう一つ、別の贋作を多数出していたアカウントが出していたからだ。

槐多と同じパステル画で龍安寺の石庭や山の風景を描いているのだが、作者は黒田清輝長谷川利行、李仁星という韓国の画家など様々である。中には村山槐多のサインがある作品もあったが、切り貼りした感じや全体の雰囲気が新発見作品とよく似ていた。

おそらく、クレパスで描かれた古い絵(同じ構図が何枚もある事から児童画と思われる。)を切り貼りして、サインを後付けしたと思われる。


それと画集を見ていて、ウッドワン美術館所蔵の村山槐多のガーベラの花という絵がなんとも異様に感じた。早熟だったというので、様々な作風を試みていてもおかしくはないのだが、同じくウッドワン所蔵の花やポーラ美術館の賀茂ノ里、新発見の花が比較的アカデミックな作風であるのに対し、前衛的というか、凝った作品という感じになんとなく違和感を感じた。

また、久万美術館所蔵の紙風船を被る自画像は初めて見るが、有名な方の紙風船を被る自画像を模写した様な感じがした。

愛知県での地蔵等の放火事件について

愛知県弥富市で起きた地蔵や狛犬などの放火事件にショックを隠せない。観音堂と中に収められていた仏像も全焼したとのこと。

どんな理由にせよ、身勝手な盗難や放火などが横行すればこの様な文化財は消失してしまう。こういった文化財は地域の歴史を知る上での大事な史料でもある。我々は自分達の手で先祖が築き上げてきたものを壊してしまっているのかもしれない。